ピラティスを取り入れたコンディショニングは具体的な演奏技術と極めて深く結びつくものーその1

【ピラティスを取り入れたコンディショニングは具体的な演奏技術と極めて深く結びつくもの】

 

ピラティスをベースにしたコンディショニングは、具体的な演奏技術と極めて深く結びつくものです。

もし、このことがなかなかお伝えできていないとしたら、

それは私の研究の最も要となる重要なことがお伝えできていないことになります。

 

私はこのことを、日頃のレッスンで、

実際の演奏を目の前に、具体的にお一人お一人にご指導してきています。

『小手先の音楽でない演奏にするためには、心と体とが一体とならなくては!』ということを、

どうしても伝えたいからです。

 

身体のレッスンはとにかく動いてもらうこと。

演奏を行うための「身体」という材料に対して無頓着なのは、あまりにももったい無さ過ぎます。

そして、人任せでなく、自分で身体を使って動くこと。

最初は違和感のある方もありますが、

数年経つと、あまりの自分の変化に心の底から納得して下さいます。

 

8年間に渡り、身体のコンディショニングと演奏のレッスンにどちらも通っているあるピアニストは、

舞台で自分の毎年の変化を肌で感じ、これからも自分の可能性が広がって行くことが楽しみで、

これからもっともっと学びたい!!と仰います。

 

演奏が根本から変わっていくからです。内側から変わってくる。

演奏のテクニックが変化し、演奏の質がどんどん良くなるからです。

 

身体のコンディショニングが、最後に一つの音をどう発音するのかというところに

しっかりと結びついて行き、音としての結果を出します。これは極めて明確なことです。

 

つまり、身体がバランスを保ちながら連動して動くことを考えれば、

運指・打鍵それらの末端のピアノに伝わる最終のところのコントロールまでもが、

はっきりと進化して行くのは至極当然のことなのです。

 

ただ単に体を柔軟にしたから音楽が変わるということを申し上げているのとはまるで異なります。

 

演奏は、一瞬にして行う、心と身体の高度な総合的な、精緻なものなのです。

 

結果として演奏技術濃く深く結びついていくものだからこそ、

内観力を高め、身体能力を磨くピラティスでの身体アプローチは、

その一瞬を創るための大きな拠り所となります。

 

小手先の技術では駄目なのです。

身体の深いところからの技術のみが、本当の芸術を生み出していけるのではないでしょうか。

 

具体的にお話しして行きましょう。

まず、ピアノの場合からお話しします。

 

<ピアノ演奏技術との濃い繋がり>

 

1.まず座位の姿勢を正しく行うことが出来る。そして演奏中もそれを保てること。

 

このことは真っ先にとても重要な演奏技術です。安定して座れていないと何も始まりません。

 

もしも、骨盤の向きが前や後ろに倒れている(前傾や後傾)姿勢で暮らしている人は、

通常の身体の意識で椅子に座ると、安定した座り方が上手く出来ないので、

座位で姿勢をキープすることが困難になってきます。

 

その結果、腰椎に負担をかけてしまったり、

腹直筋や大腿四頭筋に余分な力を入れてしまったり、

横隔膜が姿勢の維持のために働こうとするから横隔膜の柔軟性が失われたり、

そのようなことから全身に伝わる影響が考えられます。

そして打鍵する指先にまでその良くない影響は及んできます。

 

体幹の安定、骨格の正しい配列、脊椎の柔軟性、股関節の可動性・・・

 

これらは、鍵盤に触れる指が正常に動くために、

また、ピアノを弾くという姿勢を維持するために

根本的に重要なことです。

 

つまりピアノを弾くための基本的な技術です。

まず、ここがきちんと出来ていないと、

身体に負担をかけますし、呼吸も十分に行われません。

不安定な身体をなんとか保つために、

首や肩に余分な緊張を強いることとなり、

本来ならば可能な運指や重心移動ができにくく、演奏がしにくくなります。

 

身体の前面が窮屈になり、

背中の筋肉が使えない。

 

視覚や聴覚にも見えない影響を及ぼします。

 

この続きはまた書きます。

具体的にレッスンでどんな変化が起きたかの例を次にお話ししましょう。

 

最後に繰り返し申し上げますが、

『身体を整え、ピラティスを取り入れた視点から体の感覚を磨いていくことは、

具体的な演奏技術に深く結びつきます。』

 

Yuko Kojima