朗読と歌で綴る日本の心
『秘すれば花』
〜コンサートご案内〜
【期日】2025年1月19日(日)14:00開演 13:30開場
【ところ】サローネ・フォンタナ (東京都世田谷区祖師谷4−9ー24)
【出演】 朗読・うた 高津 佳
朗読・ピアノ 小島裕子
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《invitation》
人の心の奥底にいつ何時も光を差し込むような詩や随筆の“言葉の佇まい”は、それが紙に印刷された文字であってもそこから薫り高く浮かび上がってくるようです。ましてやその言葉が人の心と身体を介した「声」で表現される時、その確固とした存在感ある佇まいに私たちはまた魂を揺さぶられるのです。
このコンサートは、そんな言葉の佇まいに秘められた日本の心を、心と身体の真ん中を通した“声”にのせて、朗読と歌で表現し、皆様にお送りしたいコンサートです。
声と言葉の世界が一つの輪をなし、たおやかで美しい”日本の心”を伝える芸術になり得れば幸いでございます。
言葉の佇まいは、花の佇まいに似ています。微かなる薫り、馥郁とした香り・・・。その立ち姿からは、ひと時にとどまらない凛々しさや決意、与えられた命を生きる神々しさが常に放たれているようです。
世阿弥の書き残した『風姿花伝』には、「花」にたとえられる人の美しさが、若い時のひと時のものではなく花をつけた後の萎れた風情こそが美しくあると表現されています。しおれた芸こそ、返す返すも大事というほかない・・・とも書いてあります。
詩人の魂がこの世から消えてしまってもなお、永遠の花となって咲き続けるその「ことば」とは・・・?言葉の深淵に密かに息づく日本の心は、まさに幾久しく咲き続ける花そのものではと思わずにはいられません。
高津 佳さんは、本名塚田佳男さん、私の長年の日本歌曲の恩師でいらっしゃいます。
塚田佳男先生は、日本歌曲研究の第一人者であり、これまでピアニストとして多くの優れた声楽家と数多くCDをリリースして来られた、言うまでもなく日本を代表する音楽家のお一人です。日本歌曲に秘められた精神を詩と音楽の融合で如何に表現するかを、魂の打ち震えるようなご指導でもって教えて下さるので、先生の元では沢山の演奏家が学んでいます。
一方、歌い手「高津 佳」としてもご活躍で、優しさと懐かしさに溢れた歌を美しい声で演奏される素晴らしい歌い手でもいらっしゃいます。私のラジオ番組FM津山『歌曲をあなたに』では、これまで何度もご紹介してまいりました。その上、詩の朗読においても数多く舞台で上演され、多くの方に感動を与え続けて来られました。深いご研究に裏打ちされた先生の朗読は、美しい声で軽やか、豊かな表情を持ちながら、聴く者の心に自然にすうっと入ってきて、心を揺り動かし、涙を誘うのです。私はそんな塚田先生の朗読に大変に感動し、教えを乞い、現在に至ります。
この度のコンサート『秘すれば花』は、そのような、「日本歌曲」と「朗読」を通じて先生の芸術に触れ教えを仰ぐことができた私の感謝の気持ちと、“日本の心”を大切にこれからも音と言葉に真摯に向き合って生きて行きたいという思いを込めたコンサートです。
ぜひ多くの皆様にこのコンサートにお越し頂き、高津 佳さんの素晴らしい朗読と歌、日本の歌曲と詩の織りなす“永遠に咲き続ける「花」”を鑑賞していただけましたら、この上ない幸せに存じます。
皆さまのお越しをお待ち申し上げております。
2024年 晩秋に
小島裕子