<ラジオ番組「歌曲をあなたに」への想い>
パーソナリティをつとめているラジオ番組「歌曲をあなたに」
私にとって、番組プログラムを考えるのは、毎回本当に楽しくてならない作業です。
胸がワクワクしてきます。
おかげさまで、これまで本当に沢山の歌曲を勉強させて頂いてきましたので、
これからは、何か、演奏や指導とは別の形でも皆様にお伝えしていけたら・・・とずっと思ってきました。
素敵な歌曲を心を込めてご紹介することに使命すら感じつつ、放送できることを本当に幸せに感じています!!!!
言葉と音に触れられていることは何にも替えがたい幸せ。
言葉が音になる、その音は言葉としてまた人の心に問いかけていく・・・。
そもそも言葉も音ですから・・・
それはとても素敵なことだと思いますし、
だからこそこれから勉強していきたいことも沢山!!
幸せです。
<日本の歌曲への想い>
さて、4月23日(木)の生放送では、わたくしの大好きな日本歌曲を取り上げました。
『過ぎゆく春をうたう』と題しまして日本の歌曲から素敵な作品の数々をご紹介させていただきました。
お聴きいただいた曲は・・・
春の寺 詩/室生犀星 曲/清水脩
風に寄せてうたへる春の歌より 詩/三木露風 曲/山田耕筰
さくら横ちょう 詩/加藤周一 曲/中田喜直
さくら横ちょう 詩/加藤周一 曲/別宮貞雄
すてきな春に 詩/峯 陽 曲/小林秀雄
ゆく春 詩/小野芳照 曲/中田喜直
まさに匂ひ立つような芳しい春の歌の数々を
いずれも選りすぐりの感動的な演奏でお聴きいただきました。
それにいたしましても「日本の歌曲」、なんてすてきな世界なのだろう・・・!と思います。
美しい言葉が音によってさらに美しく彩られ、薫っていく・・・
行間に込められた風の匂い、風景の色合い
<日本のことば>を音にした作曲家の、到底はかり知れない勇気と叡智と努力を思う時、
震えるような気持ちになります。
特に、リヒャルト・シュトラウスの影響が明らかにみられていると言われる
山田耕筰の歌曲集「風に寄せてうたへる春の歌」の作品は、
何度聴いても、何度演奏させていただいても、
はりめぐらされた音楽への高い意志と日本の美に対する精神に圧倒されます。
人の生命は永遠ではありませんが、これらの歌の命は永遠です。
だからこそ私達にできることは、まず私達日本人が「日本の歌曲」に触れる機会をできるだけ沢山つくっていくことだと思います。
それはコンサート会場だけではありません。
こんなにすてきな世界を、コンサート会場に行く人にしか味わえないものにしておいては
いけない気がします。
『心からなされる演奏』を日常のおだやかな暮らしの中で触れていただくことができるように、
私なりに尽くしたいと思っています。
生きている人に出会う瞬間にこそ、その作品にもまた命が宿るのではないかしらと
私は思います。
小島裕子