Salon.Kでは、「自由な心と開放された身体による演奏をするために、音楽家が自分の身体についての意識を持ち、自分に合った望ましい身体感覚でのびのびとより豊かな演奏ができること」を目指し、 ピラティスをベースとして考案した「音楽家のためのBODY METHOD」をもとに、「身体」と「演奏」の両面から、指導・サポートしていく独自のメソッド 『Y.K.MUSIC AND BODY METHOD』を広めていく活動を展開しています。
現在ピアニスト・声楽家を始めとするプロの演奏家やピアノ教師を対象に
プライベートレッスンや講座・定期セミナーを通して指導を行なっています。
その効果は確実に表れてきており、皆様からは驚きや喜びの声が多数寄せられています。
そもそも演奏運動は、身体を隅々まで動員して行なう高度で繊細な身体運動です。
けれども感情の表現は個人個人で様々ですし音楽の善し悪しも価値観が多様で個性や人格に及ぶ領域になりますから、 音楽はスポーツのようにはっきりと言い切れない要素を沢山含んでいます。
そのせいか、私達音楽をするものは、その楽器である身体について正しい知識や使い方を学ぶ機会がほとんどと言ってよいくらいにありません。
仮にあったとしてもそれは、演奏によって身体的に何か問題が生じた場合や、病気や年齢的な理由で身体のことを考えなければならない事態になった場合で、それ以外はいわゆる野放しの状態です。
パフォ―マンスをする分野で、身体についてこれほど放ったらかしの分野は他に無いのではないでしょうか。
例えば、ピアノ演奏において、その人が習慣にしている姿勢や身体の使い方、また呼吸の傾向は、確実に音に影響を及ぼします。
具体的に言えば「骨盤の傾き」、「体幹の意識」、「呼吸の状態」など、これらはいわゆる個人の癖として見過ごされるべきものではなく、演奏のための大変重要な要素として、 整えていかれるべきものだと考えます。
身体という楽器を自分で管理し、最大の機能を発揮できるようにメンテナンスしていくために、身体のサイドからの取り組みをしていくことは、 結果的により良い演奏への近道になると考えます。
心と身体がバランスよくコントロールされて演奏できることこそが、理想的な演奏運動ではないでしょうか?
ですから、演奏へと結びつけていくための「音楽家のための身体調整法」が必要であると考えます。
実際に、身体について正しい意識を持ち、歪んでいる部分は改良し、理にかなった動きが出来るようになると、やがては音の響きや音楽表現に明らかな変化が表れ、
自分の音楽の世界が変わってきます。その上、心と身体が開放されてくると表現の可能性がどんどん広がってきます。
つまりそれは、楽器の演奏においては、身体と楽器とが融合し、身体の深いところから生まれたエネルギーを響きに変えて繋げていくことです。
また、自らの身体が楽器である声楽においては、声を作るための発声器官と、声に響きを与えるための共鳴器官、そして呼吸を生み出し支える柔軟な身体という、声を出すための全ての器官を活用し一つのまとまりあるものにし、
真に芸術性のある声を作りだしていくということです。
私は自らの体験を通してそれを実感してきました。 またレッスンを終えた受講生の方からは、「身体のことを何も気にせず弾けたことが嬉しくてならなかった!」「 自分を信じることが出来るようになった!」との喜びの声が多く上がっています。
エディト・ピピト=アクセンフェルトはその著書「ピアノ演奏によせて」の中で「演奏運動のコレオグラフィー(舞踏振り付け)」という言葉を繰り返し述べています。
この言葉は私に強烈な印象を与え、この言葉の本当の意味を理解できる演奏家になりたいというのが一つのわたくしの夢なのですが、これこそ「真の演奏を表したことば」ではないだろうかと思っています。
身体を楽器として働かせていく営みは 幾重にも繊細に練られて行くべきものでしょう。エディト・ピピト=アクセンフェルトの貴重な教えは、Y.K.MUSIC AND BODY METHOD の考えの原点になっています。
私が学んだピラティスは、アレキサンダーテクニークやフェルデンクライスを取り入れたネバダ州立大学公認のピラティスで、 ダンサーやスポーツ選手、政治家、女優などの間でも多くのクライアントを持つピラティスです。特に、このピラティスの重要なテーマである「脳と身体をつなぐ働き」は、
精緻な感性を必要とする「音づくり」にそのまま生かせるテーマであると実感しています。
そのような理由から、私は、このピラティスをベースにした「音楽家のためのBODY METHOD」を考案し、それを Y.K.MUSIC AND BODY METHOD の大きな柱としています。
私は自分が体験してきた多くの喜びをぜひ皆様にも味わっていただきたいと願い、また以上述べてきたことを理念として普及活動をしています。 今この取り組みは、演奏指導における全く新しいアプローチの草分けとして注目を集めています。良い音楽を奏でるために、時間はかかっても丁寧に自分を開拓し、自分を発見し、そして演奏の喜びを拡げていける人が増えて下されば幸いに存じます。
小島 裕子
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